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とりくみ Labor policy / Political action

「介護人材不足と社会保障改革の方向性を問う」田村まみ参議院議員 参議院本会議

2026年6月16日掲載

6月10日(水)の参議院本会議で、UAゼンセン組織内議員の田村まみ参議院議員が質疑に立ち、上野賢一郎厚生労働大臣に対して質問を行いました。

なお、この日の質疑に先立ち、5月12日にNCCUは田村議員と介護保険制度見直しに関する意見交換を実施。そのなかで、中山間地域における介護サービス維持、包括報酬、夜勤要件緩和、有料老人ホームの囲い込み問題、ケアプラン有料化懸念、介護人材不足への対応等について意見を交わしました。

田村議員は、NCCUが提起した現場の課題を踏まえ、上野大臣に対して以下の論点について質疑を行いました。

◆介護業界を成長分野に位置づけ、適切な予算配分を
昨年11月の日本成長戦略会議で、重点的に官民連携の戦略的投資を促進する17の分野について発表されたことに触れ、これらの戦略分野に、介護は含まれていなかった点を指摘。
そのうえで、「高齢化の進展中、介護分野を成長産業と捉え、需要拡大分や人材不足を補うための生産性向上に資するICT・デジタル投資や処遇改善による増加分を、適切に社会保障費予算へ反映させるべきではないか」と問いました。

これに対し上野大臣は、介護分野のテクノロジー導入については2025年度補正予算などで支援を進めているほか、AI半導体分野のロードマップ素案や労働市場改革の取りまとめにおいて介護が重点領域として検討・位置づけられていると説明し、成長戦略の中でも重要分野だとして取組を継続すると答弁しました。
また、介護人材確保のための処遇改善の重要性に触れ、2026年度の臨時改定や2027年度の定例改定において、物価・賃金上昇を適切に反映する対応を行う考えを示しました。

◆介護業界の人材確保について
長らく人材不足が課題とされている介護従事者不足について、「2040年には57万人が不足すると言われている。高市早苗総理大臣は予算委員会(3月18日)で、直近の2024年度では必要人材数を大きく下回っていると答弁した。そのうえで今後の必要人材数・不足数の把握方法や分析手法、これまでの処遇改善やICT活用、生産性向上施策の効果検証を含め、今後どのように人材確保を進めていくのか」と見解を求めました。

上野大臣は、介護人材確保には処遇改善、負担軽減、職場環境改善、魅力向上などを総合的に進めることが重要と説明し、必要な介護職員数は2027年度からの第10期介護保険事業支援計画において地域の状況変化を踏まえた推計を行う方針を示しました。
そのうえで、都道府県を中心とした協議会の仕組みを活用し、地域ごとの実情把握と分析を行いながら、実践的な取組を通じて人材確保に全力で取り組む考えを示しました。

◆ケアマネの法定研修について
今回の改正案において、ケアマネジャーの更新研修制度が廃止される件について質問。
「これまで指摘されてきた受講料の負担や受講機会の確保の困難さ、同一内容の反復や現場実務との乖離など、現場のケアマネジャーが『支援の質が高まる』と思える研修にしない限り更新制が廃止されても研修受講への疑問は解消されない。研修内容の課題をどのように認識し、解決に取り組むのか」と見解を求めました。

これに対し上野大臣は、更新制度は廃止しつつも資質維持・向上のための新たな定期研修を設けると説明しました。そのうえで、講義については制度改正や報酬改定など最新知識を反映した国の研修指針を整備し、演習についても地域包括ケア会議等で把握された実例や直近の課題を取り入れるよう都道府県に見直しを求めることで、研修内容の質の確保を図る方針を示しました。

◆有料老人ホームに係る新たな相談支援類型について
今回の法案では、住宅型有料老人ホームの入居者に対する新たな相談支援が創設され、一定の利用者負担が導入されることとなっている一方、在宅サービスのケアマネジメントは従来どおり介護保険給付の対象となっています。
田村議員は、「在宅サービス利用者全体に費用負担を拡大する方針へ転換するではないか」と懸念を示し、見解を求めました。

上野大臣は、「新たな相談支援類型は、介護付き有料老人ホーム等と住宅型有料老人ホームの入居者像が極めて近いものとなっていることや、住宅型有料老人ホームの囲い込みへの対応として創設する」と説明。
そのうえで、「ケアプラン作成を含めて、定率負担で対応している介護付き有料老人ホーム等の仕組みとの均衡の観点から、原則1割の利用者負担を求めることとしている。そのため、自宅等の一般的な在宅で介護サービスの提供を受ける方に対して利用者負担を求めることを予定しているものではない」と述べました。

◆中山間・離島などの特定地域サービスと報酬体系の柔軟化について
田村議員は、2025年6月末時点で訪問介護事業所がゼロの自治体が115町村に上るなど、介護サービス基盤の維持が困難な地域が拡大している現状を踏まえ、「本法案で創設される特定地域サービスにより、同一市町村内でも地区ごとに報酬体系や人員配置基準が異なる可能性がある」と指摘。「全国一律制度からの転換となるのか」と見解を求めました。
また、包括報酬の設計によっては、利用抑制や過剰請求など利用者・事業者間の利益相反が生じる懸念についても説明を求めました。

上野大臣は、特定地域サービスは全国一律の介護保険制度を維持しつつ、中山間・人口減少地域におけるサービス確保のための制度的対応と説明しました。
また、既存の中山間地域等への加算制度を参考に設計されるもので、導入に当たっては都道府県と市町村の協議や、事業者・住民との丁寧な対話・調整を行うことを想定していると述べ、その周知を徹底するとしました。

◆訪問介護の事業形態と報酬体系について
田村議員は、「訪問介護事業者といっても、住宅型有料老人ホーム等に併設され、近隣に利用者が集団で居住している事業者は、移動時間が短くサービス利用率が高いため利益率が高くなる一方で、過疎地域や離島など、サービス利用者が分散している地域の事業者は利益率が格段に低くなる」と指摘し、大臣の認識を問いました。
さらに、2024年度の介護報酬改定で、他の介護サービスと比較して利益率が良好という理由で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことを重ねて指摘。
「過疎地域や離島の訪問介護事業者に限れば、利益率は低迷していた。今後も、地域の実情や事業形態等が異なる訪問介護事業を、報酬体系上同じ訪問介護事業者として扱い続けるのか。区分を分ける方向で見直しを行い、利用者が点在する地域でサービス提供をする訪問介護事業者が持続可能な制度となるよう見直すべきだ」と求め、大臣の見解を求めました。

上野大臣は、「訪問介護の経営状況は、地域の特性や事業規模、事業形態等に応じてさまざまであると認識している。今年度実施している介護事業経営実態調査において、事業者の立地や規模、戸別訪問型、住宅型有料老人ホーム併設型などの事業形態など、経営状況をきめ細かく把握した上で、2027年度介護報酬改定では、適切な単価設定を検討していく」と回答しました。

今回の質疑では、組合員の声をもとにしたNCCUの意見が主要な論点として国会で提起され、政府からは一定の認識や方向性が示されました。

NCCUは引き続き関係議員との連携を通じ、介護従事者の処遇改善などの政策実現に向けて取り組んでいきます。

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