6月4日、参議院本会議で『労働施策総合推進法』の改正案が賛成多数で可決・成立し、カスタマーハラスメント(カスハラ)から労働者を守る対策が企業に義務付けられることとなりました。
●田村まみ参議院議員の長年の取り組みが結実。NCCUも意見陳述で後押し
このカスハラ対策の法制化は、UAゼンセン組織内議員の田村まみ参議院議員が初当選以来取り組んできたもの。今回の法案成立は、田村議員が長年にわたり現場の声を国に届け続けたことで実現した大きな成果です。
また、この改正法案は参議院に先立ち、5月20日に衆議院本会議で賛成多数で可決・通過していました。衆議院での審議にあたっては5月13日の厚生労働委員会でNCCU村上久美子副会長が参考人として招致され、介護現場で利用者やその家族からのハラスメントが職員を悩ませていることを報告。法案成立への大きな後押しとなりました。
●今回の法改正のポイント
昨今、カスハラは大きな社会問題となっていますが、明確な規定がないため十分な対応が講じられていませんでした。
今回の改正法では、カスハラを「職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係する者の言動であって、その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業関係が害されること」と定義しています。
これまでも「セクシャルハラスメント」、「パワーハラスメント」などについては、労働者がハラスメントによって就業環境が害されることがないよう、事業主に「雇用管理上の措置義務」が課せられていました。
今回の法改正によって上記に「カスハラ」が加わり、次の対応を講じることが義務付けられました。
・ 労働者からの相談に応じる
・ 相談に対し、適切に対応するための必要な体制を構築する
・ その他適切な対応措置を講じる
改正案は2026年中の施行を目指しており、今回の法案成立は「サービスを提供する側と受ける側がともに尊重される社会」の実現に向けた大きな一歩となります。