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とりくみ Labor policy / Political action

介護報酬引き下げについてのアンケート調査結果発表

2015年2月4日掲載

●調査概要
政府は「2015年度からの介護報酬を全体で2.27%引き下げる」とした。
これを受けて、NCCU(日本介護クラフトユニオン)は組合員に「介護報酬引き下げ」に対する緊急のアンケート調査を実施した。

1.調査対象者
NCCU組合員

2.調査方法
NCCUホームページからのネットアンケート形式にて実施

3.調査期間
2015/1/26(月)~2/1(日)

4.有効回答件数
243件

5.調査結果
(1)「介護報酬引き下げ」を支持するか
○支持する・・・24件(9.9%)
○支持しない・・・219件(90.1%)

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(2)「1.支持する」「2.支持しない」とした理由(自由記述)
(2)-1.介護報酬の引き下げを「支持する」とした理由(抜粋)
・企業として最低限のレベルを保てていないと思われる事と、その最低限のレベルをクリアする事により利益率を上げられる可能性もある中で、それらを差し置いて介護報酬に期待している感が否めない。これら最低限の問題をクリアし、より介護報酬の重要性を明確にしてから引き上げるべきかと思う。

・介護事業所とすれば報酬が減る。しかし、職員に対しては引き上げ1.2万円方針。事業者からすれば収益がなければ給料を上げられず1.2万円が本当に上がるかは不透明なところだが、給料が上がるのであれば支持する。

(2)-2.介護報酬の引き下げを「支持しない」とした理由(抜粋)
・ご利用者様にとっては、メリット、そして社会保障費の圧縮にもなると思います。ただ、低賃金での介護業界では慢性的な人材不足で、介護報酬の引き下げはそれに拍車をかけると思います。一方で、介護報酬で莫大な利益を得ている株式会社もあるのも事実で、職員を低賃金、最低人員で働かせているのが実情です。介護報酬の引き下げは賃金のみならず、職場環境の悪化にも繋がり、介護産業の崩壊にも繋がりかねません。

・介護報酬が何故引き下げられるのか現場で働く者にも生活があり、やむを得ず働いている方もいます。人材不足は仕事に見合う賃金が払われていない結果だと思います。これから迎える超高齢化は分かっているのにここで何故?という今回の介護報酬引き下げ。理由を明確にして人材不足をどうしていくのか説明と改善を求めます。

・介護報酬の引き下げのメリットが全くないから。特養を持つような大きな法人の内部留保が問題なら、そこに指導に入り適正化を図れば良い。そこをまるで全体の問題にして介護報酬の引き下げだなんて、論点をすり替えているような…。詭弁だと思う。

・報酬の引き下げにより、今よりも売上や利益が低下すれば自ずと現場での仕事に影響が出てきます。すでに引き下げの報道を受けて「介護の将来が見えない」ということで諦めの気持ちで仲間が辞めていきました。残ったスタッフへの過重労働やそして離職に拍車がかかるのではと思っています。

(3)「介護報酬の引き下げと介護職員の処遇改善」は両立できるか
○できる  ・・・25件(10.3%)
○できない ・・・218件(89.7%)

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(4)「1.できる」「2.できない」とした理由(自由記述)
(4)-1.報酬の引き下げと処遇改善の両立は「できる」とした理由(抜粋)
・難しいと思うが、行政側が、各事業所が処遇を改善している事をしっかりチェックしてくれるシステムを構築してもらえれば可能かと。

・企業コンプライアンスが守られていなかったり、企業意識が低く、ボランティア精神が強い現場も多いのではないかと思う。この辺りをより充実させて行く事で、介護報酬を引き下げた状態でもより利益を生み出す事が可能と思われ、それにより処遇も改善できるのではないかと思う。

(4)-2.報酬の引き下げと処遇改善の両立は「できない」とした理由(抜粋)
・介護業界はそもそも利益獲得があからさまにできない業界です。一部に内部留保が潤沢な業者があったとしても、多くは低い賃金設定でしか生き残れない状態です。だから、職員は低い賃金、低い保障のなかで労働しているのです。介護報酬の引き下げは、財政にはプラスでも、介護という仕事を委縮させるだけで、結果として介護サービスの低下につながる可能性が高く、とても心配です。

・そもそも処遇改善は介護職員に特定されたものであるため、一緒に働く介護従事者は対象とならないことに疑問がある。介護サービスは介護職員だけで成り立っているのではなく、皆で、チームでやっているものです。介護職員じゃない方たちの処遇が下がるのではと心配です。

・一時的に使用者と介護職員の格差は縮まるかもしれませんが、事業規模が拡大しない。縮小してしまうようでは本末転倒ではないでしょうか。他業種との賃金差はもっと大きいですし、根本的な解決策にはならないように思います。また、事業を支えるのは介護職員だけではなく、事務員などは更に貧窮しているのが実情で離職も少なくありません。介護サービス確保のためには、事業全体の発展、人材確保を考えないといけないと思われます。

・会社の存続なくして、職員の処遇改善、サービス品質の向上は困難。介護業界の原価を占めるのは人件費が殆ど。会社の収支が悪くなれば原価の改善=人員の削減を行うのは必須。そうなると必ずサービスの質は落ちてしまう。

以上

【報道関係・研究機関などの皆様へ】
本調査の結果を転載、または引用なさる際は、当ユニオンへご一報くださいますようお願い申し上げます。
また、取材の依頼等も承っております。お電話、または下記お問い合わせフォームよりご連絡ください。

●「ホームページからのお問い合わせ」(フォームからご連絡ができます)

●「電話による連絡先」 日本介護クラフトユニオン TEL:03-5730-9381(副事務局長:村上)

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