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とりくみ Labor policy / Political action

改正介護保険法の成立にあたっての事務局長談話

2011年6月17日掲載

改正介護保険法の成立にあたって 事務局長談話

UIゼンセン同盟
日本介護クラフトユニオン
事務局長 久保 芳信

「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(改正介護保険法)は5月31日衆議院を通過した後、6月15日参議院本会議で可決され成立した。今回の介護保険法等の見直しにあたっては、「地域包括ケアシステムの実現」並びに「持続可能な介護保険制度の構築」を基本的な考え方として昨年の5月より社会保障審議会介護保険部会で議論されてきた。 この部会には、NCCUは厚生労働大臣から臨時委員の委嘱を受け、介護現場で働く者の立場から積極的に議論に参加した。
今回、改正介護保険法が成立したことを受けて所感を述べたい。

1.反映されたNCCUの意見
NCCUは介護保険部会の委員として、アンケートやフォーラム、さらに各集会等で寄せられた組合員の声を集約し、介護従事者(介護事業に関わるすべての労働者)の視点をどのテーマであっても大切にしつつ、真に介護保険制度が充実・発展すること、そして介護従事者の労働環境の改善に資することを大きな眼目として発言してきた。こうした視点、或いは眼目は従来の政府の審議会等の発言ではやや脆弱であったことは否めない。今回の改正法案を成文するにあたって下地となった「介護保険制度の見直しに関する意見」(まとめ)に、介護人材の処遇改善の取り組みの継続や資質の向上、キャリアアップの取り組みの推進等、NCCUの発言の要旨が記載され、介護保険法だけでなく、「社会福祉士及び介護福祉士法」に反映されたことは評価したい。

2.十分でない介護従事者の社会的地位の議論
「介護職員等の処遇改善の方向性」については、改正介護保険法の附帯決議に示されている。しかしながら、衆参の厚生労働委員会での審議では介護従事者の社会的な地位、またそうした地位に相応しい処遇の在り方の議論が抽象的かつ不十分であったと考えている。NCCUとして不満であると言わざるを得ない。介護従事者が誇りを持って働き続けるためには、社会的地位・職業的地位に焦点をあてた深い議論が必要である。こうした議論の深化と社会への浸透がなければ、今後ますます必要とされる介護従事者の確保は絶望的となることはもとより介護難民を発生させることにも繋がり、大きな社会問題になると言わざるを得ない。さらに介護従事者の絶対必要数を確保できない状況では、介護従事者に過重労働を強いることになり、結果として介護サービスの質の低下を招くことになるのではないか。「地域包括ケアシステム」における介護人材の面からの構築のためにも、介護従事者の相応しい処遇の在り方、求められる労働環境の整備と向上等の議論を政労使の取り組みで加速させることが重要である。

3.注視すべき労働法規の遵守
「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」サービスの創設や、また、介護職員等によるたんの吸引等の医療的ケアの実施など、改正介護保険法では介護従事者の働き方や労働環境に決して小さいとはいえない変化が生じようとしている。それぞれの具体的な運用については今後の厚生労働省からの省令等によるが、NCCUとしても重要な関心事項として注視していきたい。運用を定着させるにあたって、関係する労働法規の整理と改正が必要とされるケースも想定されるのではないか。今回の改正介護保険法では、悪質な事業者に対する排除等、労働法規の遵守の徹底が謳われている。NCCUが身近な問題として介護保険部会等で主張してきた内容であり評価するが、新しいサービス等の導入に伴って労働法規違反が増加することも予測され、労働組合としてしっかりと対応しなければならない。

4.介護保険法創設の理念からの逸脱を懸念
介護保険法の基本的な考え方として、①家族だけでなく社会全体で老いを支える、②介護サービスを利用者自らが選ぶ、③地方分権としての推進、等々があった。介護保険法の改正や介護報酬の改定があるたびに、介護従事者で組織するNCCUとしてもこうした制度の基本的な理念が崩れていないか、歪んでいないかを検証してきた。今回の改正介護保険法を見ると、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」や「介護予防・日常生活支援総合事業」等、事業者や行政が逆に利用者を選ぶことが可能になるのではないか等の懸念が残るなど、制度創設の基本的な考え方と逸脱している内容もあるのではないかと捉えている。今後の運用を検証しながら提言等を行っていきたい。

5.介護労働の確保について
今回の介護保険法の改正の議論では、厳しい財政事情から給付の効率化・重点化の議論があった。この議論の是非は別として、われわれ労働組合はサービスの抑制による介護労働の縮小や新サービスの導入による労働の移動の発生等に強い気がかりがあることを訴えたい。現在開催されている介護給付費分科会での議論と共に、介護労働の変化については重大な関心を持ち続けている。

以上

<< 改正介護保険法(PDFファイル)>>

<<修正文(PDFファイル)>>

<<衆議院附帯決議(PDFファイル)>>

<<参議院附帯決議(PDFファイル)>>

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